学問の道を散策しよう

微積分の基本的定理の理解のために、証明を丁寧に書いている。定義、定理を説明するため、具体例や図も多く付けた。ε‐δを使う議論は、最初のうちは特に丁寧に説明している。
扱われている素材は基本的事項に限られているが,論証のレベルはかなり高い.(例えば,高木貞治先生の「解析概論」に近いレベルかと思う).しかし,言葉使いは(高校生でも抵抗感が無いと思われる程)親しみ易く,また説明も丁寧なので,このレベルの本としては異例とも言える程近付き易い本である.また,重要な概念は労を惜しまず言彙を尽して説明されている.例えば,“と∂論法”は第1章5節「数列と収束」で登場するが,著者はこの論法を読者に抵抗なく受け入れてもらうためにかなりの労力を賛している.
本書の特徴(または長所)はこの他にもいくつか挙げられるが,1つは直観を非常に重視しながら論証もきちんとやっていることである.著者は労を厭わず,言彙を尽して読者の抵抗感をとり除きながら高いレベルの論証を維持している.また,重要なテーマは徹底した形で論じている場合が多い.
本書を読むための予備知識はそれ程多くはない.高校の教科書で言うと,数学IIIは知らなくてもよい(もちろん知っていた方が良いが).二項定理と数学的帰納法には或る程度慣れている必要があるが,三角関数と指数関数は定義から説明してあるので,“論理的には”知らなくても読める.


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