学問の道を散策しよう

数学の世界ではどんな場合にでも適用できる一般論から入って,最後にシンプルな個別ケースや応用上重要な個別ケースを例示するのが好まれます。この教科書ではそのような方法はとらずに,なるべくシンプルなケースから入ります。そして,必要なら後で少し違うケースにも適用できるように拡張します。繰り返しの無駄がありますが,途中でくじける可能性が低くなることを期待しています。
 この教科書では,概略を筋道立てて理解することを重要視します。そのため,途中の式をとばさずに,なるべくていねいに書きました。いっぽうで,数学的に厳密には証明せずに,文献を引用するだけにとどめます。
 既存の教科書と矛盾しない範囲で自由な解釈をして説明されます。他のベクトル解析の教科書や,力学系の教科書の説明のしかたと違っている部分があるかもしれませんが,頭を柔らかくして読んでください。例えば,基本ベクトルが主役で成分は脇役という立場をとります。また,全微分が主役で偏微分係数が脇役という立場をとります。
 添字指標を使ったベクトルの表記(第5章),円筒座標系のベクトル解析(第6章),球座標系のベクトル解析(第7章),ベクトル解析を使った保存則の定式化(第14章)など,従来の入門書ではあまり詳しく説明されていない事柄にもかなりのページを使いました。道具としてベクトル解析を使う際に,しばしば必要となります。

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