学問の道を散策しよう

抽象的な基本・重要概念に対し、ビジュアルなアプローチと話の流れを重視し、思考順・学習順に構成した教科書


83 名前:低レベル学生 投稿日:02/01/09 19:47
おれのお薦め
線形代数 川久保勝夫/日本評論社
微分積分 田島一郎の「解析入門」(しかし1変数のみなのが痛い)


105 名前:132人目の素数さん 投稿日:02/01/20 13:35
>>83
川久保勝夫 「線形代数」は後半が難しい、が悪いとはいわない。
氏が逝かれたのは惜しいが。(not 2Ch 用語)

杉浦光夫「応用数学者のための 代数学」(岩波)はいわゆる応用数学の
ためではなく、線形代数を群の表現に応用する方針のようだが、
非常にすぐれた本。

田島一郎「解析入門」は1変数のみだが、イチのお薦め。どうせ
2変数以上は、ちゃんと書いてあるものは少ないし、工学系なら
ちゃんとやらなくても、マズ大丈夫。

ちゃんとやるなら微分法なら
スピヴァック「多変数解析学」か多様体の入門書、
積分ならルベーグ積分をいいかげんでもよいから勉強した方が楽。
杉浦「解析入門I, II」は辞書として使う。このウリは無限区間
の重積分の順序交換だが、ルベーグ積分のFubiniの定理の方が
よほど楽。(後ほど、関数の畳み込みのフーリェ変換で、必要)

  • ジョルダン標準形まで。行列の分割や、シュミットの正規直交化法、核空間と像空間の関係などの概念を図で説明してくれるので分かり易い。 演習と解説も丁寧だし、独習に向いた良い教科書だと思います。
  • 分かりやすい文章な上に、置換や定置性の説明まで網羅されている名著。線形代数を習った時はなんの役に立つか想像できなかったので、必要に駆られてから学びなおしたのは間違ってないと思うのだが、簡単な本で難しい所まで説明している本は少ないので、とても役立った。ビジュアル以前に説明や構成が親切。今まで線形代数に触れたことの無い人は読めないかもしれないが、必要に迫られてから学べばいいと思う。ただ、レビューを見てジョルダンの標準形はパラ読みで済ませた。欲を言えば、もう一冊別に分かりやすい本と見比べながら読みたかった。
  • これは良い本。行列式の説明にある碁盤目の図や、線形写像の基本定理(V/Kerf〜Imf)の図の威力がすごい。「いろいろなコンセプトをヴィジュアルにとらえる」という著者のコンセプトは大成功していると言えるだろう。昔は連立方程式の解の構造を調べたりするのはつまらないなあと疑問に思っていたが、初めて線形微分方程式の解の構造と同じなのことに気づいてうれしかった。本書を通じて線形代数の大切さが分かった。演習問題が全部解けるとその章を消化したことがわかるような適度な問題が並んでいる。ガリガリ計算してみましょう。
  • 諸学者向きの線形代数の本です。例題が豊富で解説も詳しいです。早くに出会っておけばよかったなと思った。高3の時、担任に大学数学のいい参考書教えてくださいって聞いたら、「東大出版 線型代数学」だった。最初にこの本だったらもっとスムーズだっただろうなと思った。
  • ベクトル空間のあたりは理解に苦労した。ジョルダンの標準形についてはほとんど議論についていけた気がしない。比較的易しく書かれた線形代数学の本だとは思うが如何せん自分の実力不足である。
  • 2011年の数学の試験直後に読了したと思う.それまで高校の行列しか触れてこなかった身からするとすごく抽象的で難しかった.正直線形代数学が世の中の何に役立っているのかとか全然わからなかったしモチベーションも上がらなかったが,なんとか読了.基本的な定義,定理を網羅していて大学教養程度の数学をマスターするならこの一冊で十分だと思われる.演習も充実している.

線形代数学の教科書としては私の知る本の中では一番わかり易いです。正確に言うと、「わかったうえでさらにそれが自分のものとしてしっかり身につく」って感じでしょうか。
まえがきにもあるようにこの本の特徴は「いろいろなコンセプトをヴィジュアル化してとらえる」という点が挙げられます。つまりこれによって初めて学ぶ事柄への読者の理解を助けてくれます。
そして大事な概念や有用な定理の後には丁寧な解答付きの例題があり、さらにその後には例題と同レベルの問が設置されていて、これが独習者にとってはありがたいです。終始一貫してこのスタイルが踏襲されています。章末の演習問題もどれも適切なレベルです(巻末に略解あり)。
折に触れて挿入されている「コメント」も学ぶ側の素朴な疑問に答え、指針を与えるもので、読者が線形代数という森で迷子になるのを防いでくれます。これも独習者にとってはありがたいです。
初心者や独習者に最適と書いていると、内容がチープだと思われるかもしれませんが、そんなことはありません。あまりいろいろなことが載っているわけではありませんが、ちゃんとジョルダン標準形まで書いてあります。
全364ページにわたって本当にじっくり丁寧に書かれています。
以上の理由から「線形代数学の独習には文句なく良い」と言えます。

 この本を読んでいると,読者は「著者から常に語りかけられている」ような感じを受ける.ほんの一例を挙げれば,「行列の積をなぜこう定義するのか」について一席ぶっているところや,行列式や固有値の持つ意味をかみ砕いて説明しているところなどががそうである.知らない道を,訳も分からず引っ張り回されているような不快感が全く感じられなかった.こういう,筆を惜しまず説明してある本は数学に限らず洋書(特に米国人の書いた本)には多いのだが,日本人著者の本としては珍しい(評者の知る範囲では,朝永先生の「量子力学」くらいか).
 勿論この本は数学書であるから「寝っ転がって気楽に読める」とか「通読すれば簡単に分かる」などと言うことはない.それが出来るのは数学の専門家・研究者であり,そもそもそのような人はこの本を読む必要もあるまい.しっかりと計算過程も追いながら読み,章末の問題も全て解きながら(これが大事!)読み進める必要がある.それなりの時間が必要だが,この本をマスターすれば学部レベルの線形代数はマスターしたと胸を張っていえるし量子力学を初めとする物理学や工学方面で応用する場面が出てきても少なくとも数学の取り扱いでおろおろすることはないだろうー物理が分かるかどうかはまた別の問題だが!
 大部の本でもあり類書に比べれば高価.しかし,「まともじゃない本」や「高級過ぎる本」にあれこれと手を出し,格闘しているうちに訳が分からなくなってその科目が嫌い・苦手になるくらいなら,こういう本を最後まで読み切った方が経済的かつ精神的にどれだけ良いか分からない.
読むときのちょっとしたコツだが,「難しい,理解できない」と思ったら具体例に戻ることである.例えばn x nで分からなければ,3 x 3でやってみることである.
 なお,この本でも「俺には難しすぎる」と感じる人は,石村先生の「やさしく学べる線形代数」をすすめる.石村先生の本をきっちり読んで(勿論問題は全て解く)計算の要領を体得し,線形代数に対するある俯瞰的な感覚を得たのちにこの本に取りかかればよい.

"ビジュアル化"を考えながら書かれたとまえがきや各章の序文(p.42など)でもおっしゃっていて、それこからこのようないいご本が生まれたのだと思います
ビジュアルに伝えるってとても大切なことだと思います。特に、"線形代数学"には"形"って字がはいっているし ^_^ でも、この本にも、行列(が表現する写像)やベクトル空間の絵は載ってないんですよね
"二つの線形部分空間の交わりを図示しなさい"と言われたら、ベン図じゃなくて、ちゃんと[直線で交差する2平面]がイメージできるように学べる教科書が必要だと思いますが、残念ながらこの本もそうした書き方にはなっていません
あとに続く方の"次の本"がいつか書かれるようになったらいいですね

大学の教科書、参考書というと堅苦しいイメージがつきまとうものですが、この参考書は読者の目線に立って書いてくれているので、独学用としても非常に使いやすいです。
しかし、大学の教科書の補助的役割として本書を使うときには注意が必要です。僕の場合もそうでしたが、教科書によって書かれている順番などが違います。例えば、僕の教科書は連立1次方程式の議論の後に線形写像のお話があります。それに対し本書は線形写像の議論を先にして、それを前提に連立1次方程式のお話をしています。
したがって、教科書の補助的役割として本書を使う場合、ページを跨いでしまうわけですから、当然知らない理論が登場してきます。ですから本書は通読用として用いることを強くおすすめします。結局はその時知らない理論も教科書で後々学ぶことになるのですし、知っていて損はないのですから。
以上、長々とレビューを書かせて頂きましたが、本書は教科書としても参考書としても非常に優れていると思いますので、安心して購入して頂いてよろしいでしょう。

線形代数で必要なことがしっかりとまとまっていて入門レベルの人でも、参考書として常に傍らに置きながら、練習問題を解けばかなりしっかりと理解できるはず。練習問題にも完全ではないけれど解答がついていて、非常に親切な一冊。

川久保先生が読者にいかにわかるように、努力されたかが察せられる内容でした。
学部の頃は斎藤先生の線型代数入門 (基礎数学 (1))で勉強しましたが、輪読したにも拘わらず全員がどこまでしっかり内容を理解していたか?疑問でした。とにかくイメージがわきにくかった。
その点、この本の証明は、なぜこのように説明されるかがすんなり頭に入ります。
しいて難を挙げると、新装版でも本文・演習問題の答えを含めまだ誤植と誤りがあること(川久保先生が夭折されたので一樂先生が一部訂正されたようですが、まだ散見されます)、発展的な話題に乏しいこと(スペクトル分解、行列の関数、ペロン=フロベニウスの定理、一般逆行列、特異値分解)でしょうか。

スペクトル分解なら線型代数と固有値問題―スペクトル分解を中心に
行列の関数なら行列の関数とジョルダン標準形
ペロン=フロベニウスの定理なら線形の理論
一般逆行列なら一般線形代数
特異値分解なら現代線形代数 ―分解定理を中心として―
物理との関連なら線型代数―Linear Algebra
へ進んで学ばれることをお勧めします。

大学の編入試験対策として購入した。
線形代数の知識がゼロの状態から読み始めたが、この本は学習の順序にも気を配っていて、根本から理解できるようになっていると思う。
おかげで筑波大学の理系の編入試験では、線形代数の範囲をすべて解くことができた。知識ゼロから3ヶ月で十分理解できる。
もちろん合格。

川久保先生には心から感謝したい。

私はこの本で線形代数を独習しました。そもそも文型大学の出身で高校で行列すらやったことはなく、また大学でも基礎的なことをやや学びはしたものの、本質的理解には程遠いという実力でした。それが将来的に多変数解析をするための自習書を探しまくり、たどり着いたのが本書です。
正直言って、驚くほど親切で定義・定理・証明ときちんと追うことができました。最初からこつこつと手を動かし、身に着けていけば最後までたどり着くことができます。数学のかなりできる人ならば省略しているようなところも入っているためだと思います。
ただし、一回にまとまった時間を確保できないと、中途半端な理解のために後半に無理がくると思います。私の場合は、一度に最低3時間は確保し2ヶ月程度で終えました。解答も付いているので練習問題も全て理解できます。
本当にお薦めで著者に感謝します。著者はイメージを大切にしたと述べています。それが本書の特徴でもあるようです。

読み終えての感想ですが、全体的によくまとまっており、復習には最適だと思います。
線形代数を初めて学ぶ人(大学レベルの数学は未学習だが高校数学の基礎を理解している人)は「プログラミングのための線形代数」やウェブサイトなどで一度学習してからの方がよいと思います。
本書は解りやすいか?と聞かれると、一度学習済みの方(大学の講義をあまり理解できなかった人も含めて)にとっては解りやすいと思います。


本格派の本です。
ジョルダンの標準形までいく本がかなり少なくなってきました。しかも説明のいい加減なのが多い。
また単因子論を使い、非常に難解な斎藤さんの教科書。これに影響されて単因子論でカタズけるのも多い。
その中で、この本はフィルタレイションを使いうまく説明しています。
商空間の概念を使い、ベクトルにより解決しています。線形代数に相応しい説明でした。ただこの概念は、難しいのでプログラミングのための線形代数で、親分子分の関係。子供の七光りの話で概念を身に着けていますと、大変分かりやすくなります。ジョルダンの解説は後はいたずらに難解なものか、それともアルゴリズムだけの解説の両極端が多いのは日本のテキストの欠点だと思います。線形代数の基本的な部分の証明に関しては、この本よりもエレガントなのもありますが、ジョルダンの標準形はぴか一です。

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